エトワールの木漏れ日

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伊波杏樹さん 初フルアルバム『Fly Out!!』感想

伊波杏樹 初フルアルバム
NamiotO vol.0.5
~Original collection~ 『Fly Out!!』

伊波杏樹さんという人が花開いた瞬間。そんな“今”が詰まったフルアルバムでした🌷

今年は伊波杏樹さんという人が花開いた年だと思います。
「才能が開花する」という表現がありますが、才能。その一言で片付けられないものを伊波さんからはいつも感じております。
もちろん「才能」それもあることでしょう。伊波さんの持つそれが非凡であるのか、平凡であるのか。それは私には分かりません。ただ、この5年とうい月日で伊波杏樹さんという人を見つめ続けて。その「才」を伸ばすために積み重ねてきた努力。心を砕き、命を削り、役に魂を吹き込んだ日々。その全てが『Fly Out!!』このフルアルバムには詰まっていました。

 

1.「もし叶うなら」 25 years old(作詞・作曲・編曲:多田三洋)
この曲を初めて聴いたとき。
「1年後、5年後、10年後の伊波さんの歌声でも聴いてみたい」
そう願った曲です。それが叶ったことがまず嬉しい。ミュージカル『ラヴズ・レイバーズ・ロスト』にてミュージカル出演という夢を叶え。コロナ禍という冬の時期を乗り越え。ミュージカル『INTERVIEW』でその歌声にさらに深みを増した伊波さんによる歌唱。
歌声に歴史が乗るということを体感させてくださった一曲目です。



2. GOOD LUCK, の HANDSIGN (作詞:伊波杏樹 作曲・編曲:多田三洋)
並木道でお店や街行く人々とハイタッチして笑顔が自然とこぼれるような映像が鮮明に浮かびました。
またライブ会場でえめりさんたちバンドメンバーさんたちと奏でるサウンドの光景も目に浮かぶようで、ライブでClapする日がとても楽しみです!



3. Dubing Water (作詞:伊波杏樹 作曲・編曲:多田三洋)
ページを巡りペンが走る音で一気に物語の世界に引き込まれる。低めの歌声から紡がれる男性目線の歌詞。色を失ったかのよにうに広がるモノトーンの世界で“彼”が失ったものの喪失感と息苦しさが伝わってきました。
それでも“彼”が前に進む姿で結ぶ。そこが伊波さんらしいなと思いました。



4. I Copy ! You Copy ? (作詞:伊波杏樹 作曲・編曲:多田三洋)
2分43秒という短い時間に込められた疾走感!恋をしている女の子の体感速度はまさにこんな感じ!!
女の子の暴れだしそうな抑えきれないハートの鼓動の可愛いさがぎゅぎゅっと詰まった一曲💕


5. An seule étoile (作詞:伊波杏樹 作曲・編曲:多田三洋)
まずはCD化されたことに心からの感謝を。目蓋に浮かぶあの日の光景は特別な宝物で。ずっと伊波さんを照らす光の一粒でありたいし、たったひとつの星の幸福を願い続ける。私にとって祈りのような曲です。


6. I bet my life (作詞:伊波杏樹 / 渡邊亜希子 作曲・編曲:多田三洋)
スリットの入った深紅のドレスを身に纏い、椅子にしなだれかかって色香を放ち悩ましげに歌ってほしい曲。
「信じられない?」の挑発的な「い?」がたまらなく好き!!!
時折25歳の瑞々しさが滲み出るのもまた良い!アラフォーになった伊波さんにも歌ってほしい✨


7. VICTORIA (作詞:伊波杏樹 作曲・編曲:多田三洋)
どこか懐かしさを感じるサウンドに伊波さんの歌声の力強さが相まって記憶の旅に放り出された感覚。
なぜかカラオケボックスのイメージが浮かんだのは、私が歌うという意味でもっとも深く音楽に触れた時期が「遊ぶ=カラオケ」だった高校時代からなのか。



8. 笑描き唄 (作詞:伊波杏樹 作曲・編曲:多田三洋)
ボサノバの曲調から始めは水辺や夏の縁側で聴きたいと思っていたら、気づくと後半は甘いココアにほぅっと心をあたためながら聴きたいと思った不思議素敵な楽曲。「色んな世界に連れ出したい」という伊波さんに誘われる道中のようなやわらかなイメージを受けました。


9. I promise you... (作詞:伊波杏樹 作曲・編曲:多田三洋)
一番“伊波杏樹”を感じる歌だなと
上手く言葉にならなくて。抜けない棘のように痛みではないのだけれど“うずく”曲。
多かれ少なかれ人が抱えるそれぞれの“その時”に励ますでもなく、ただそっと寄り添ってくれる。何よりも優しい歌です。


10. また会えるよ。 (作詞・作曲:伊波杏樹 編曲:多田三洋)
今でこれだけ泣いてるのにライブ会場で聴いちゃったらどうなっちゃうんですか!
絶対絶対!また会いましょうね!!!



全ての楽曲で異なる主人公の物語に引き込まれ、背景を想像させる。役者伊波杏樹ならではのフルアルバムですね!
また、あえて曲順を入れ替えて一本の映画のように妄想を膨らませて解釈しても面白いと思いました。
そして何よりもこのフルアルバムに深い味わいを乗せているのが、役者でもアーティストでもない“伊波杏樹”を感じられることです。もちろんそこには個々の持つ「伊波杏樹さんへのイメージ」が色濃く反映されることでしょう。
でもそれは、制作過程の手書きメモを信頼するいな民の皆さんに包み隠さず披露する。そういった人柄があればこその“味わい”だと思うのです。


起きたこと全てを力に変える。それは表現者にとって何よりも強い武器だと思います。
生配信で見せてくださった伊波さんの花が綻ぶような笑顔。ラジオで聞かせてくれた弾むような嬉しそうな声。
フルアルバム一曲一曲を聴いて「ああ、納得だな」そう思いました。
真っ直ぐすぎて時としてこちらが心配になるほど実直で固い実が、たくさんのことを経験して吸収して。そうしてようやく花開いた。
今年に入って伊波さんが周りの大切な人たちに関することだけでなく、伊波杏樹さんご自身について自信を持って語られる場面をよく耳にするようになりました。
あの「自分はいい。役が輝いていればそれでいい」と謙虚の塊のようなお人がですよ。かつてそんな言葉を聞くたびに「もっと自信を持ってほしい。己を誇ってほしい」と、どれほど願ってきたことか。
それが叶ったことが嬉しい。
見ましたか?
配信でのあの笑顔。
聞きましたか?
ラジオでのどっしりと自信に満ちたあの言葉を。
私はまるで自信が輝きとなって溢れている。そんな風に感じました。

ライブイベント『Fly Out!!』のサブタイトル。
〝Reach out your hand!〟
なんと頼もしい言葉でしょう。
あの輝きを纏った伊波杏樹さんの“Fly Out!!”をLIVEで体感する日を心から楽しみにしています!