エトワールの木漏れ日

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ミュージカル『DOROTHY〜オズの魔法使い〜』観劇備忘録

ミュージカル『DOROTHY〜オズの魔法使い〜』観劇備忘録


兵庫公演
9月16日(金)14時公演
かかし/蒼井翔太さん&ライオン/小野塚勇人さん
9月19日(月)13時公演
かかし/蒼井翔太&ライオン/栗山航さん

福岡公演
10月1日(土)
かかし/鈴木勝吾さん&ライオン/小野塚勇人さん
10月2日(日)
かかし/蒼井翔太さん&ライオン/栗山航さん

観劇させていただきました。
原作をベースに映画での設定も取り入れつつ、部活や職場など誰しもが直面したことのある悩みに寄り添う形にアレンジされており。子供から大人までとても親しみやすいミュージカルでした。

今回はその中で
・この物語におけるOZの国とは何だったのか?
・表裏一体のドロシーと東の魔女&西の魔女について
この二点に注目し自分なりの答えが出た時、さらなる感動を味わえたのでそれを書き記したいと思います。

 

 

 

《OZの国とは何だったのか?》

今作のミュージカルでは、ドロシーがOZの国で出会った人々との旅を通して、彼女が抱える問題と向き合い成長し“大切なものは自分の中にある”と気づく。という『オズの魔法使い』として普遍的なテーマになっていました。
では今作における「OZの国」とは何だったのでしょう?

オケ部での対立でドロシーを庇ってくれた三人。
・クロウ=かかし
・ティン=ブリキ
・レオ=ライオン
異論を唱えた二人。
イースター=東の魔女
・ウエスティン=西の魔女
という構図から。一言で言えば「ドロシーの精神世界」と私は解釈しました。
さらにそこにもう一つの視点を加えることで私の感動はより深まりましたので、順を追って記します。


【①原作、映画版での物語序盤のあらすじ】

オズの魔法使い』といえば「赤いルビーの靴」をイメージする方も多いのではないでしょうか?私もそのひとりでした。
しかしこの設定はジュディ・ガーランド主演。Over The Rainbow で有名なミュージカル映画版『オズの魔法使』での設定であり。原作のドロシーは「銀の靴」を履いています。映像化の影響力の大きさを感じますね。
ここでの映画版とはこちらのことを指します。

原作ではドロシーがヘンリーおじさんとエムおばさん、犬のトトと農園で暮らす。開始数ページの簡単な説明で竜巻がやってきてドロシーの住む家ごと彼女とトトをオズの国へと吹き飛ばしてしまいます。

ところが映画版では、まずドロシーを取り巻く環境が丁寧に描写されます。
農場で働く優しい人々との交流。
ドロシーの愛犬トトが大地主のガルチさんの猫を追い回し、彼女の足にまで噛みついたことからガルチさんは「トトを殺処分する」とトトを連れて行ってしまいます。一度は逃げ出してきたトトですがこのままでは再び連れ戻されてしまうと家出を決意したドロシー。
しかしその途中インチキ占い師に諭され家に帰るよう促されます。
「エムおばさんが心配している!」慌てて家に帰るドロシーですが迫り来る竜巻により窓が外れ、頭を打った彼女はベッドに倒れ込んでしまいます。
目覚めたドロシーが窓の外を見るとそこには箒に乗ったガルチさんそっくりの魔女が…!

カンザスから家ごと吹き飛ばされたドロシーとトトが辿り着いたのはオズの国のマンチキン市。マンチキンの人々は偶然にもドロシーの家が「東の悪い魔女」の真上に落ち倒してくれたことを喜び彼女を歓迎します。

そこに現れたのが東の悪い魔女の妹「西の悪い魔女」。彼女は東の悪い魔女が履いていた魔力のとても強い「ルビーの靴」を狙います。しかしルビーの靴は東の悪い魔女を倒したドロシーを選びます。
こうして西の悪い魔女に狙われることとなったドロシーは「北の良い魔女」の助言で、偉大なオズの魔法使いに家に帰る方法を教えてもらうためにエメラルドの都をめざします。

ここまでが原作および映画の序盤のあらすじとなります。



【②原作、映画版におけるオズの国とは?】

原作では、銀の靴の魔法の力で目にも止まらぬ速さで宙に舞い上がりカンザスへと辿り着きます。また、ヘンリーおじさんが新しく建て直した家があることから時間の経過も示唆されています。
つまり、原作でのオズの国での出来事は“現実”といえるでしょう。

映画版では「願うだけじゃだめ。心から求めるものはすぐそばにある。そうでなければどこを探してもない。そのことに自分で気がつくこと」
旅を通してそのことを学んだドロシーはルビーの靴の魔法の力を使い踵を3回打ち鳴らします。すると目覚めたドロシーは元の我が家のベッドの上で目を覚まします。ドロシーの周囲には彼女を心配したヘンリーおじさん、エムおばさん。かかし、ブリキ、ライオンに似た農場の仲間たち。オズの大魔法使いに似たインチキ占い師。
オズの国での出来事を“夢”といわれたドロシーは「夢なんかじゃないわ!」と言い返しますがすぐに「どちらでもいいわ」と結論づけます。
彼女にとって大切なことは、一度は家出をしたドロシーですが「みんなのいる家が一番だと気づけたこと」だったのです。
つまり、映画版でのオズの国での出来事はドロシーが頭を打って眠っている間に見た“夢”といえるでしょう。

このように映画版と今作のミュージカルは「現実世界と似た登場人物」「旅を経て成長する」という点で構図として似ています。
しかし大きく異なる点もあります。
それがドロシーが出会う人々への認識の違いです。



【③ドロシーが出会う人々への認識の違い】

映画版では、農場の人々、地主のガルチさん、インチキ占い師が「オズの国の住人」としても登場します。
しかし「前に会ったことない?」「昔から知ってるような気がする」とぼんやりとした台詞のみでドロシーに“彼らと似ている”という明確な認識はありません。
(ちなみに原作では、そもそもカンザスでの登場人物はヘンリーおじさんとエムおばさんしかいません。)


今作のミュージカルでは、かかしと出会ったとき「クロウ!?」と驚きを見せます。
・ブリキ=ティン
・ライオン=レオ
二人に出会ったときも同様に“彼らと似ている”という明確な認識を示しています。

・東の魔女=イースター
・西の魔女=ウエスティン
二人に関してはとくにリアクションはありませんでした。
これについては、西の魔女は魔法で女王蜂に“変身”しているという設定のため。
東の魔女も怒りで燃え上がる炎の髪と落ち着いた灯火のような髪型でも印象がまったく違ったので。現実世界とあまりに印象が違ったためではないかと思っています。

そしてもう一人。現実世界と似た人物がいます。
オズの魔法使い(おじさん)=ドロシーの父親
彼は観客として客観的に見ても、東の魔女や西の魔女と違い「現実世界との大きな印象の差」はありません。
ではなぜドロシーは最初にOZの世界で「おじさん」と出会ったとき「お父さん!?」とならなかったのでしょう?



【④オズの魔法使い(おじさん)とオズの精とは何者だったのか?】

ドロシーが「おじさん」を「お父さん」と認識しなかった理由。
それはドロシーが子供の頃に死別しているからではないでしょうか?
ドロシーが子供の頃に見たコンサートマスターとして舞台に立つ父親を回想した場面。
「パパは幸せそうだった…」
そう呟くように歌い。笑顔で去り行く父親をまるで「行かないで」というように手を伸ばし追う姿にそう感じました。

だから父親のように「みんなで一つの音楽を作ること」にあんなにもこだわっていたのではないでしょうか。
誰よりも練習をして完璧な演奏をすれば、あの日のパパたちのような演奏に近づける。それはやがて“オケ部のみんなとのレベルの高い演奏”に固執し、軋轢を生み出してしまった。
純粋な憧れはオケ部のみんなを巻き込んだ独りよがりになってしまった。

そして、オケ部のみんなとの衝突で“自分の音楽”を見失ってしまったドロシーに「こっちよ!」と道を示した「オズの精」
彼女はドロシーが子供の頃に抱いたままの「純粋な憧れ」が具現化した姿だったのではないでしょうか?
ドロシーがOZの世界を旅立つ時。手を繋いで見送る「オズの魔法使いとオズの精」の姿は親子そのものに見えました。

つまり、OZの国とは何だったのか?
それはドロシーの精神世界であり。
ドロシーを心配した父親が生前に伝え切れなかったことを教えるために起こした10分間の奇跡。それがあのオズの世界での旅だったのだと私は解釈しました。

そう考えると鈴木壮麻さん演じる「オズ」の言葉ひとつひとつに「父親」という視点が加わりさらに響いて。ドロシーを見送る場面での、どこか安心したようなでも少し寂しそうな穏やかな表情がとても胸にきて…泣けました。

もちろん「ドロシーのお父さん」は単純にオズ役の鈴木壮麻さんの“兼ね役”だったという可能性もあるのですけどね。
個人的にこういう解釈が好きなんです 笑

 

 


《表裏一体のドロシーと東の魔女&西の魔女》

リーダーとして「他人の心を掴む力」を欲したドロシーですが。旅の中でかかし、ブリキ、ライオンと出会い。彼らの悩みを客観的見ることで彼らにとって「本当に必要なもの」をアドバイスします。
・かかし=相手の立場に立った想像力
・ブリキ=相手の言葉を聞くだけでなく、自分の気持ちや考えをきちんと言葉にすることの大切さ
・ライオン=他人のせいにするのではなく、自分の欠点と向き合うこと
しかしそれはオケ部をまとめるリーダーを目指すドロシー自身にとっても必要なものでした。

ではドロシーにとって魔女たちとはどういった存在だったのでしょう?
それはドロシーにとって認めたくない表裏一体の自分の姿でした。


【東の魔女との葛藤】

オズにより東の国に追いやられた東の魔女は怒りと憎しみを力とし。余計な音はいらない。完璧な音楽で皆を一つにする。と主張します。

そんな東の魔女の奏でる音楽に触れたドロシーは、彼女の怒りの奥に悲しみを見つけます。
「炎は人の心を温めるはずなのに、あなたの音楽はどうしてそんなに悲しいの?」
心の奥底に触れられた東の魔女は動揺し、すかさず言い返します。
「お前の音楽はなぜそんなに迷っている?その迷いはやがて周囲を傷つけるだろう」
ドロシーもまた東の魔女の言葉に動揺します。しかしそれは同時に東の魔女に生じた迷いでもあります。
この場面で階段の中央で向き合い言葉をぶつけ合う二人はまるで“鏡”です

迷いを振り払うように放った炎の攻撃は、身を挺して仲間を守ろうとしたライオンにより阻まれます。
「もっとも弱虫のはずのライオンがなぜ!」
「ライオンさんは弱虫なんがじゃない!」
「なに?」
魔女にドロシーは問いかけます。
「強さって何?」

強さなんていらない。
弱くていい。
勝利に固執する必要はない。
本当の強さとは「愛すること」。

「力で従えて一人になった国を支配しても何の意味もない。そんなことにも気づかないでいたなんて…」
この東の魔女の気づきはドロシーにとっての気づきでもあります。

怒れる東の魔女の炎はドロシーの怒りと悲しみそのものでした。
どうしてみんな解ってくれないの?
私は正しい。
練習を増やすことはみんなのためなのに。
ドロシーにとって「演奏=言葉」です。
高い演奏技術をもって他者をある意味“黙らせてきた”ドロシーはオケ部のみんなをそうやって傷つけてきた。そんな傲慢な自分に気がついた。

東の魔女に決定的変化をもたらしたライオンの自己犠牲は「自分の時間や生活を犠牲にするオケ部のみんなの象徴」だったのだと私は考えています。
ドロシーにとっての“みんなのため”は自己満足であり。それぞれの生活を犠牲にしていたのではないか?そんな気づきを得たのではないでしょうか。

「力で支配してきた魔女=演奏の技術で黙らせてきたドロシー」
ドロシーと東の魔女は共に共鳴しながら答えに辿り着いたのです。

 


【西の魔女との対面】

最初に観劇したとき「東の魔女に比べて西の魔女は随分とあっさりドロシーのことを認めたな」という印象を受けました。
しかし観劇を重ねるうちに、これはドロシーが「傲慢だった自分を認め受け入れること」つまり「己の非を認める」という彼女にとって最大の葛藤を乗り越え。ウエスティンさんが言った「これ見よがしな演奏」からの変化を証明する段階にあったからではないか。という考えに至りました。
己の非を認め受け入れることはとても難しいことです。子供の頃から誰よりも練習をして努力し、実力と自信をつけてきたドロシーならばなおさら。


では西の魔女との対面で彼女が向き合ったものとは何だったのでしょうか?
それは“寂しさ”です。

「優しい毒で皆を操ってあげよう。心も音楽もいらない。私に従えばいい」
強い魔法の力で皆を操り国を一つにしようとする西の魔女。
西の魔女の言葉を聞いたかかしは自らの体を使ってヴァイオリンを作り出します。
「ドロシー!ヴァイオリンで話してください!!」
ドロシーにとって「演奏=言葉」です。
一度封印したヴァイオリンを手に取ること。それは再び言葉を解放すること。
「私は私の言葉を捨てない。私の音楽、ヴァイオリンを捨ててはいけない」

かかし、ブリキ、ライオンとの旅を経て“みんなが想いをひとつにする素晴らしさ”を改めて学んだドロシーは決意を持って西の魔女に語りかけます。それは東西南北の国が溶け合うこともきっと同じなのだと。
「あなたの国を、優しい魔法でみんなを幸せにして」

ドロシーの演奏に心を動かされた西の魔女は静かにドロシーの演奏と言葉に耳を傾けます。
「強い魔法の力でみんなを従えても寂しいだけ。あなただってみんなで一つの音楽をしたかったから国を統一したかったんじゃないの?」
「どうだろうな。いつの間にか国の統一が目的となり、統一したその先のことを見失っていた」

・国を一つにしたかったはずの西の魔女の孤立
・オケ部を一つにしたかったドロシーの孤立
二人の立場はよく似ています。しかしドロシーの受け入れた“寂しさ”はそれだけではありません。


「その力でみんなを幸せにしてあげて」
この台詞は西の魔女に語りかけた言葉であり。複数の意味合いがあると私は思っています。

①ドロシーの決意表明。

高い技術力をもって気づかぬうちに、まるでオケ部のみんなを従えるかのように黙らせ傷つけてきたことを反省したドロシー。
「でも今度はその演奏でみんなを幸せにしたい!」そう強く願った。その想いが西の魔女の心を動かし。現実世界においてもオケ部のメンバーの心を動かした。

②子供時代の孤独を受け入れた瞬間。

「その力でみんなを幸せにしてあげて」
これは孤独だった子供時代の自分に語りかけた言葉でもあるのではないでしょうか。
一日休めば三日は感が取り戻せない。だから練習練習。毎日練習。友達と遊ぶ時間のなかったドロシーは孤独だったことでしょう。
「練習ばかりで寂しかった。
でもその努力は無駄じゃない。
その力でみんなを幸せにしてあげて」
その寂しかった時間で手にした演奏の技術で、今度はみんなを幸せにしたい。
ドロシーが自身の寂しかった子供時代を受け入れた瞬間でもあった。

そしてそれは巣立ちの時も意味します。
ドロシーにとって目標であるパパたちのような演奏を目指すこと。それは彼女にとって唯一パパと繋がれる時間でもあったことでしょう。
けれど冒険を経たドロシーは彼女自身の音楽を見つけ、オケ部のみんなと向き合うことを決めた。
オズの国をドロシーが旅立つときに見せたオズ=パパの少し寂しさを滲ませた笑顔がそれを物語っていたと思います。
(福岡公演では、涙を浮かべて一度顔を覆ってからの笑顔だったので特にそう感じました。)

また。ドロシーにとってOZの世界で過ごした冒険の時間は「時間も忘れてみんなと遊ぶ」という、子供の頃に満たされなかった願いが叶った。パパからの贈り物の時間だったのかな?とも思いました。

 

 


《役者さんの印象+兵庫公演初日・千穐楽SPカーテンコール覚書き+福岡公演Wキャスト千穐楽ご挨拶覚書き》

※全てのキャストさんのご挨拶は覚えきれませんでした。申し訳ありません。


ドロシー/桜井玲香さん

パッと目を引く天性の華やかさだけでなく、表現のバランス感覚のある役者さんだなと思いました。匙加減を間違えればドロシーの傲慢さが際立ち、主人公への感情移入を左右する冒頭の難しい場面。
ドロシーの言っていることも間違っていないし、オケ部のみんなの気持ちも分かる。そんな絶妙な空気感を引き出す巧さを感じました。
歌声も綺麗なだけでなくとても聴きとりやすくて。素直な歌声が魔女たちの心を動かしたのだなと思いました。
公演期間中に次回の出演作の発表もあり次なるご縁がまた楽しみになりました♪

兵庫公演初日
「私、曜日の間隔がないんですけど。今日って休日なんですかね?今日はお子さんの笑い声がたくさん聞こえて」
この日は小学生の英語スクールの団体さんがいらしてと嬉しそうに微笑まれていました。

兵庫公演千穐楽
「本日は大変な中お越しくださりありがとうございました。本当に幕を開けていいのかな?という悩みもあったのですが二階席まで埋まっているお客様を見て。やって良かったと思いました。本当にお気をつけてお帰りください。本日はありがとうございました」
この日は台風が近づいていたこともあり。千穐楽での座長としての責任感が感じられるご挨拶にドロシーのリーダーとしての在り方が重なって刺さりました。

 


かかし&クロウ/鈴木勝吾さん

鈴木さんの表現されたかかしは、平凡な青年が自分だけの才能を見つけて開花させた場面に立ち会えたような、リアルな感覚で感動し身近な存在に感じました。

 


かかし&クロウ/蒼井翔太さん

蒼井さんの表現したかかしは、幼かった子どもの成長に心を動かされる感覚で観劇を重ねるほどに愛おしさが増すばかりでした。

兵庫公演初日
「本日は、お暑いんでしょうか?」
かかし役同様にふんわりした空気でご挨拶を始める蒼井さん。
「今度は蒼井翔太として皆さんにこの言葉を送らせてください。皆さんに会えて幸せでした」
「まだ初日だけど大丈夫?」という渡辺大輔さんのツッコミまで含めて癒されました☺️

兵庫公演千穐楽
蒼井さん「皆さんに会えて幸せでした」
渡辺さん「おいらも幸せ〜」
離れた位置でお互い両手を広げあうお二人が可愛すぎました🥰

福岡公演千穐楽
「皆さんからは見えないと思うんですけど、裏にいる沢山のスタッフの皆さん。
これまで公演を見てくださった皆さん。
皆さんからいただいた愛のおかげで僕のかかしはここまで成長できたと思います。
皆さんにお会いできて幸せでした」

 


ブリキ&ティン/渡辺大輔さん

兵庫公演千穐楽
「またこの劇場に帰ってきたいと思います。もしかしたら、このメンバーで!」

すみません。初日のご挨拶の記憶は飛んでしまったのですが。
私は伊波さんのファンなので渡辺さんのお芝居を生で拝見するのは
ミュージカル『ラヴズ・レイバーズ・ロスト』
ストーリー・コンサート『クララ-愛の物語-』
に続いて三作目になります。
そして今回「とても深い気遣いのお人だな」という印象を抱きました。

カーテンコールでの場を和ませたり、盛り上げたりする相手を立てる臨機応変なツッコミ。
そして地方公演の千穐楽という誰もが抱いたことのある“ちょっぴりしんみりした気持ち”に寄り添う言葉。
「またこの劇場に帰ってきたいと思います。もしかしたら、このメンバーで!」
これには人として惚れてしまいました!

さらに。台風のなか推しは無事だろうか?という心配に寄り添うTwitterでの発信。
「因みに今日は兵庫泊です!
移動は危険なんでね💦💦」
「おはようございます。
皆さん大丈夫だったでしょうか?
今尚、影響を受けている地域の方もいらっしゃるとは思います。
自分達が宿泊してる場所は大丈夫でした。
今後も注意しつつ
お過ごしください。」
周囲に気を配り。相手を思いやり。必要に応じて欲しい言葉をくださる。なんっっって深い心遣いの方なのだろう!と感銘を受けました!!

そしてお芝居についてはTwitterでも触れたのですが。
渡辺さんの劇場いっぱいに広がる歌声がとにかく気持ち良くて「これよこれ!!これを聴きたかった〜♪」と『クララ-愛の物語-』では朗読のみでその歌声を聴くことができずしょぼりしていた分!「堪能したぁ〜✨」という満足感に満たされました☺️
作中に「自分にうっとりさ〜」という歌詞がありますが、いやこれはそうなるでしょ!!自分に惚れ惚れしちゃうでしょ!!酔いしれちゃうでしょ!!と全力同意をしてしまうほど歌声に酔いしれさせていただきました!

そして後半のブリキの兄貴に泣かされていたら、少なくとも私の周囲4人の方も泣いていらして…わかる!となりましたし。なんなら観劇後に食べた板チョコの破いた銀紙を見た瞬間に「うぅ…ブリキの兄貴…っ」とちょっと涙が込み上げそうになるくらいのロスに陥りました。
ブリキの兄貴にも皆さんにもまた会いたいので!渡辺さんの言葉が現実になることを願っています!

 


ライオン&レオ/小野塚勇人さん 

小野塚ライオンさんはお子さんのハートを掴むのが上手くてほっこりしました☺️『INTERVIEW』でのマット・シニアのイメージが強かったのであんなに楽しい方だったのね!となんだかほっとして。私の中の小野塚マットが少しだけ救われたような気持ちになりました。今の印象を踏まえて『INTERVIEW』を観たらまた深く刺さりそうですね。

兵庫公演初日
「本日は誠にオズオズしいなか。オズオズしい皆さんにお越しいただき。オズオズしい気持ちでいっぱいです。明日からもオズオズしく頑張りたいと思います!」
というオズオズしいご挨拶で笑いを誘う小野塚さん 笑
また桜井さんが今日はお子さんがたくさん来ていらっしゃることに触れると、客席のお子さんたちに向かってライオンの表情でメンチを切って子供たちを喜ばせるというサービス精神ぶりが素敵でした!

 


ライオン&レオ/栗山航さん

兵庫公演千穐楽
「本日はお越しくださりありがとうございました。正直、今日が一番やり易かったです!あたたかい空気をありがとうございました!」

福岡公演千穐楽
「長くなると思うんで座っていただいてもいいですか?」というお気遣い。
「キャストの皆さん。ご観劇くださった皆さん。本当にありがとうございました。
ライオンが見つけた勇気が皆さんの明日への活力になってくれたら幸せです。
僕の好きな言葉が「十人十色」なんですけど。なんか政治家みたいになっちゃいましたけど。十人十色の皆さんのそれぞれ活力になってくれたら嬉しいです」
そして「最後に!」と絶賛公演中のおそらく『ハリーポッター』の呪文を杖を振るフリ付きで全力で叫ぶ栗山さん。
藤原竜也さんに似てるって言われてたんで富山公演あたりからずっとやってたんですけど。滑りました?最後に滑ってすみません!」
と最後まで笑わせてくださる栗山さんでした!

 


オズ/鈴木壮麻さん

兵庫公演初日
「東京公演の多くが中止になってしまい。実はこの兵庫公演が一番たくさん公演できるんですよ。ぜひまた音楽の国に会いにきてくださると嬉しいです」

兵庫公演千穐楽
「オズ役。おじさん役の鈴木壮麻です」
役柄どおりお茶目な方でほっこりしました☺️
初日のご挨拶で他のキャストの皆さんも仰ってくださった言葉。
「関西の公演は皆さんのリアクションが大きい。あたたかい」
これはとても嬉しかったですね。作中でもオズ役の鈴木壮麻さんが客席の拍手をさらに盛り上げた時に「関西の皆さんならここで👏・👏👏👏にも対応できるのでは?」と思っていたら。千穐楽ではなんと実現してくださってとても楽しかったです♪

公演期間中にミュージカル『SPY×FAMILY』のヘンリー・ヘンダーソン先生役でのご出演も発表されて。正直このキャスト発表がある前は「倍率高そうだし観られたらいいな…」くらいの気持ちだったのですが「え!!鈴木壮麻さんがヘンダーソン先生!?エレガント!!!絶対面白いじゃん!!チケット頑張る!!」となるくらい楽しませていただきました♪

 


東の魔女&イースター/伊波杏樹さん

兵庫公演初日
小野塚さんのオズオズしい連発の笑いに振り切ったご挨拶を受けて。
「この後はキツいて〜」
周囲の励ましからの
「かぶせる?かぶせる??」
からの少し考えて
「はい。イースター、東の魔女役の伊波杏樹です。本日はご観劇くださりありがとうございます。夜から天候が不安定なようですので。皆様の安全と健康を心から祈っています。本日は本当にありがとうございました」
伊波さんらしい真面目で思いやり溢れるご挨拶でした。

兵庫公演千穐楽
「本日はお一人お一人の判断のなか、お越しくださり心から感謝しております。2階席まで見えてますよ!(大きく手を振る伊波さん)くれぐれも。くれぐれも!!気をつけてお帰りください。本日はありがとうございました!」
台風に対するそれぞれの判断を尊重してくださる素敵なご挨拶のあとに、横溝菜帆ちゃんの可愛らしいご挨拶に「はぁ〜可愛い〜」というリアクションをしている姿がまた伊波さんらしくてほっこりしました☺️

 


西の魔女&ウエスティン/凰稀かなめさん

兵庫公演初日
14歳の横溝菜帆ちゃんの初々しいご挨拶の後ということで
凰稀さん「あの可愛い挨拶の後はキツいって!」
渡辺さん「可愛いですよ!」
凰稀さん「かわいい?うん。頑張る」
はにかむ姿が本当に可愛らしかったです。

兵庫公演千穐楽
「私、見つけちゃったんですけど。あちらの席に音楽の宮川彬良さんがいらしてくださっているんです。ありがとうございます!」
凰稀さんのおかけで本作の素晴らしい音楽を生み出してくださった宮川さんに拍手を送ることができました!ありがとうございます♪
また、電車一本の距離に「宝塚大劇場」があるということで、初日千穐楽ともに「帰ってきました!」と仰ってくださり。宝塚時代の凰稀さんも知る身としては、いつまでもかなめさんにとって宝塚が「ホーム」であることが嬉しく感じました。

 

 


伊波杏樹さんについて》

伊波さんのお芝居では喜怒哀楽の“哀”の表現に魅せられることが多かったのですが。今回はこれでもかとばかりに“怒”を叩きつけられ魅せられました。新たな扉が開いてしまった感覚です…笑

まず冒頭から伊波さんの“存在感”の出し入れに驚かされました。
伊波さんファンの方でも一瞬気づかなかったと思いますし。ひょっとしたら一度観劇しただけではオケ部に東の魔女さんがいたことに気づいていない方もいたのでは?
(居たんです!おさげ眼鏡っ娘イースターちゃん=東の魔女さんなんです!!)

そこからの東の魔女とのギャップ!!他を寄せつけず圧倒する東の魔女の存在感!!!
・怒りを力に変え燃え盛る炎。
・ドロシーと鏡のように向き合い心情を吐き出しぶつけ合うことで発露する葛藤。
(ここのドロシーと東の魔女が鏡のように己と向き合う場面が本当に良かった!好き!!じくじくと身を焦がすような痛みが伝わってきて。向き合ってるのがね…いいんですよ。)
・仲間を守るために飛び出したライオンの自己犠牲への敬意。
・本来東の魔女が持っていた慈愛。
この感情の変化の表現力が伊波杏樹さんの真骨頂であり。それを信頼してのキャスティングなのかなと心を躍らせました。

また楽曲も伊波さんご自身がラジオで「素敵な楽曲をいただいた」と仰っていたので、どんな楽曲なのかな?と期待に胸を弾ませていたらもう想像を遥かに越えた素敵楽曲!!
ディズニーランドのショーの音楽を手がける宮川彬良さん作曲ということで、まるでディズニーヴィランのような華やかさ。そこに伊波さんの表現する「怒りの禍々しさ」が加わることで圧倒的な存在感とヴィランとしての輝きを放っていたと感じました。(高笑い…禍々しくてうっとりするほどよかったなぁ〜✨ヴィランに対してこんなにも恍惚とした感情を抱く日が来るとは思っていませんでした 笑)
場面だけでなく劇場全てを支配するような役柄、そして役者としての存在感にまたさらに伊波杏樹さんに魅了されました。