エトワールの木漏れ日

舞台、ライブ、イベントなどの備忘録

『Aqours 3rd LOVELIVE! Tour ~WONDERFUL STORIES~』伊波杏樹さんがくれた『MIRACLE WAVE』を見届ける〝覚悟〟


 2017年11月11日。ラブライブ!サンシャイン!!アニメ2期6話『MIRACLE WAVE』にて高海千歌ちゃんによる〝ロンダートからのバク転〟が披露された直後の私の率直な感想は「これを伊波さんもライブでやるの?」でした。

 


 そしてそこから色々考え、その晩に私が出したひとまずの結論は
『挑み続ける姿に惹かれたのも事実。過度な心配は失礼だとも思う。あの人ならやり遂げてしまうという信頼もある。でもその信頼すら時として負担になるのでは?と不安にもなる。
 色々考えたけれど。「挑戦のレベルに無理はないか?」その検証と相談をしっかりとしてくれているのなら、私はただ応援したい。』
 でした。

 

 しかし、そう結論は出したものの。この時点での私はまだ覚悟が足りませんでした。時間をおいてよぎる不安。
「本当に応援していいのだろうか?」
 そこからは〝結論〟と〝不安〟の繰り返し。

【結論】
 安全面に十分配慮した上で、運営と伊波さんがしっかりと話し合って伊波さんが出した結論なら、それを受け入れたい。

【不安】
 万が一への不安。
 さらに、もしもそうなったとき。声に出して反対しなかったことを私は後悔しないだろうか? 自分を許せなくなるのではないか?
 「ライブでやるかもしれない」ということを許容した自分を棚に上げ、口汚なく運営を罵ってしまうのではないか?
 それでもなお、伊波さんが憧れ、私が愛したラブライブ!を好きでいられるだろうか?
 それは伊波さんの想いすら否定することになってしまいそうで怖かった。覚悟が足りなかったのです。

 ぐるぐるぐるぐる。こんなにも人様のことで真剣に悩んで心配したのは、危険が伴うと言われた親友の出産時以来のことでした。

 

 そして考えました。これがもしも我が子だったらどうするだろう?と。
 例えば部活の大会のために我が子が危険の伴う大技に挑戦することになったら? それで万が一のことが起きたら、私は学校を責めるのだろうか?
 答えは「安全面に十分配慮した上で、我が子がやると決めたのなら全力で応援する。何があったとしても我が子のその先の人生を背負ってサポートする」でした。
 でもそれは仮定の話。私には伊波さんの本当の気持ちは分かりませんし、運営さんとしっかり話し合いがあったのか。サポート体制は万全なのか。私には確認する術がありません。ましてその先の人生を直接サポートすることなんてできません。責任を取れないのです。だから苦しい。

 

 そんななかで、これまでの伊波さんのインタビューやブログの記事を改めて読み返したことがひとつのきっかけとなりました。「伊波さんの考え方や仕事に対する姿勢を再確認した」と言ったところで結局はそれも私の解釈でしかないので、気持ちの整理がついたと言った方が正しいのかもしれません。
 そうしているうちに思い出されたことがあります。それは伊波さんがこれまで一緒に仕事をしてきた方々の言葉たちです。これらの言葉が、伊波さんと周囲のスタッフさんたちを信じる根拠となりました。

 

 伊波杏樹という人の熱量は「周囲の人々に協力してあげたい!この人とやり遂げたい!」そう思わせる力があるのです。
 それはこれまで伊波さんが共に仕事をしてきた共演者や演出家の方たちの言葉が証明しています。

『JYUKAIDEN-桃源-』で共演し、ご自身の20周年記念公演『bastidores-楽屋-』にオファーしてくださった岩崎大さんの言葉。
伊波杏樹さん。
過去、ご一緒させてもらった事があり、そこから、舞台を観に来てくれたりと、舞台に対しての『やりたい熱っ‼︎』のすごい人で、今回お伺いしたら、スケジュールを空けてくれましたっ‼︎
どんなエネルギーをぶつけてくれるのでしょうっ⁉︎
よろしくお願いします。」
岩崎大さんブログ「大盤振舞plus」2018年1月27日記事より。

 


『BLACK DICE』共演者、高原知秀さんの言葉。
「1番最初の顔合わせの時に今回の舞台に対する意気込みが半端なく、実に6年振りに位に舞台出演する私に、精一杯頑張りますので宜しくお願いします!!と挨拶をしていただいた時、自分に厳しく人に誠実な役者なんだなという印象を受けました。声は可愛く、容姿は美しく、心は誠実。素直にそう思わせてくれる素敵な女優さんです。」
『BLACK DICE』パンフレットより。

 

 

『BLACK DICE』演出家、春間伸一さんの言葉。
「ブラックダイス。本日、13時、伊波杏樹座長の千秋楽。
芝居に対する姿勢、キャストへの気配り、投げかける愛にふれた言葉。
誰もが認める最高の座長です。
大激戦になりますが、当日券出します。もう二度とない時間と空間の中で、最後の輝きを見届けてください。」
2017年4月24日のツイートより。

「情報公開ありましたが、flying trip12月公演、主役は伊波杏樹さんです。
昨年のブラクッダイス以降、なんとしても新しい作品を一緒に作りたくて、
作りたくて、熱望しておりました。
今、プレシャーはかなりあります。すでに朝方、不安で目覚めますが、期待を裏切らねよう、精一杯やらせて頂きます」
2018年4月16日のツイートより。

 


 またこの人と仕事がしたい!と思わせる力。それはライブに参加した人たちなら少なからず近しい感情を抱いたことがあるのではないでしょうか?
 伊波さんの熱い想いに触れると、この人のために何かしてあげたい!と思ってしまうのです。
 だからきっと、スタッフさんも全力でサポートしてくれる!そう信じることができました。
(実際ライブ本番、一番近くで伊波さんの努力を見ていたであろうメンバーの祈るような眼差しと成功後の涙をこぼしての歓喜の様子。そしてツイッターで伝わってきた成功したときにスタッフさんたちも一緒に喜んでいたという様子がその答えであったと思っています。)


 そして伊波さん自身が『bastidores-楽屋-』で見せて&魅せてくれた、ダンスから流れるように軽やかなロンダート(側転?)を間近で拝見できたことは大きかったです。
 それは「安心した」という意味ではなく(素人の私にはバク転はさらに別次元の難易度に思えるので)、「身体能力としてこの人はやれるだけのスペックを持っている」という証明を伊波さん自身が体現してみせた説得力。これは大きかった。


 それでも、〝やらない〟という選択肢を伊波さんに残してあげたいという願いだけは、どうしても捨て去ることはできませんでした。
 伊波さんなら やる!やれる!と純粋に信じきることのできなかった私にできたことは、この件についていっさい口を噤むことだけでした。

 

 〝結論〟は初めから出ていた。
 足りなかったのは〝覚悟〟。

 

 そして2018年6月9日。伊波さんがロンダートからのバク転を決めた今。ようやく〝覚悟〟が決まりました。一度きりじゃない。3rdライブはまだ続きます。何が起きても受け入れる〝覚悟〟。
 7ヶ月悩んで〝覚悟〟を決めきれなかった不甲斐ない私ですが、それでも悩んで考えて抱え込んだからこその〝覚悟〟にしていきます。
 この7ヶ月で伊波さんが私に与えてくれたのは、口先だけでない信じる強さです。

 

 

 最後に。
 ずっと、ファーストイベントから涙を見せない伊波杏樹さんを心配していました。私たちの見えないところで涙を流していることはブログ等から垣間見えていました。でも、その瞬間に我慢してしまって心が処理できなくなってしまうことだってあるじゃないですか。
 舞台上で涙を見せないのは伊波さんのプロ意識の現れなのかもしれない。本人にしてみれば不本意だったかもしれない。それでも私は、今回伊波さんが感情を爆発させて涙を流してくれたこと。「くっそー!」と悔しさを全開にして発露してくれたことに安心しました。
 メンバーだけじゃない。スタッフさんだけじゃない。もっと私たちファンを頼ってほしい。たくさんたくさん言葉を届けるから。熱い声援を送るから。あたたかな光で包むから。

 責任感が人一倍強くて、自分を肯定することが不得手な伊波杏樹さん。なのにそれすら原動力にして向上心や努力といった〝日々精進〟に繋げていけてしまう人だから。だからこそ、支えたい。言葉で、声で、光で。

 何があっても、見守っていくよ。
 追いかけるよ。
 これからも、ずっと。

 伊波杏樹さん、大好きです!

 

 

 

 溢れる想いにお付き合いいただき、ありがとうございました。