エトワールの木漏れ日

舞台、ライブ、イベントなどの備忘録

『Aqours クラブ活動 LIVE&FAN MEETING ~Landing action Yeah!!~』名古屋公演夜の部「イケメン選手権(伊波さん&小林さん)」覚書


「ただいま…」
疲れた様子できちんと振り返ってドアを締める小林さん。
その様子を静観する伊波さん。(この静かさがすでに伏線だった)

 


「おかえり」
一定の距離を保ったままの伊波さん。“彼女が帰って来た”というシチュエーションにしては言葉も平坦で クールな彼氏か?と思わせる。

肘に手を当てる程度に緩く腕を組んだ立ち姿で。
「体調悪い?」
ここからである。言葉は平坦なままなのに彼女の様子を窺う様。また「疲れてる?」ではなく「体調悪い?」という言葉のチョイスが良い。
そして何よりも「体調悪い?」の聞き方の“ナチュラルさ”がグッと次の台詞を際立たせることになる。


「残業続きで疲れちゃって」
「ん……おいで?」


お分かりいただけるでしょうか。
ここまで言葉の抑揚を抑えることで(彼女にあまり興味ないのかな?倦怠期なの?クールな彼氏なの?)と見ている側に想像させる“溜め”を作ることで発揮される「…おいで?」の破壊力。(椅子に座っていた私でさえ膝から崩れ落ちるかと思った。)
しかも大袈裟に真横に両手を広げるのではなく。下げた状態のまま小林さんが両手に収まる程度の間隔に開くことで、お芝居の“ナチュラルさ”を維持しているのが素晴らしい。

さらに首を傾ける姿勢と台詞のギャップ。台詞は「おいで?」という優しげで自然な言葉なのに、その中に滲む『来るだろ?』という“自信”。
この“自信”を含ませることで“頼れる&安心できる彼氏感”が見事に表現されていた。


小林さんも予想以上のイケメンぶりに当てられたのか一瞬戸惑ってしまい、ようやく伊波さんの元へ。(画面越しの我々であのざわつきだったのですから、真正面からそれを受けた小林さんの心中…!)
そして小林さんが腕に収まったところで、やや強引とも思える勢いで彼女の頭を自分の肩に寄せ、耳元で囁くような。

「おかえり」

何が凄いって、これだけ綿密に計算されたかのような流れを作り上げておきながら。おそらく本人は計算などまったくせずお芝居をしていることですよ! これが瞬時に出てきて表現できる。それが舞台女優、伊波杏樹さんです。

 

そして何が恐ろしいって……あの“ナチュラルさ”。
「こんな彼氏が欲しい!」という夢を見せながら「存在するかもしれない」と淡い期待を抱かせるナチュラルさ。この“ナチュラルさ”が、より深く乙女心を揺さぶるのです。罪作りですね…笑