エトワールの木漏れ日

舞台、ライブ、イベントなどの備忘録

舞台『地獄少女』観劇備忘録

【劇場】
シブゲキ
242席の小劇場なのでどこから見ても近い。ただ客席の前後がやたら狭く、通るためにはお客さんの膝を完全に跨ぐ形になるので通路側以外は早めにトイレを済ませ席についておくことをおすすめします。

 

 


【感想】
開演前から懐かしい地獄少女のアニメのBGMが流れており気分を盛り上げてくれました。そして開演直後にOPでお馴染みのBGMと共にアニメの声そのままの導入台詞が流れテンションはマックス!完全に地獄少女の世界に引き込まれていました。

休憩なしの二部構成ということで完全に油断していたのですが、プロローグの行き交う人々の中に伊波さんも登場。舞台上段で上手から下手へ婚約者と手を繋いで歩く。その後も舞台下段で下手から上手へスマホを弄りながら幸せそうに歩くなど。

一部:女子ダンス部のいじめ問題。
一部決着後ダンス部顧問の元に電話が掛かってくると、それは友人からの結婚報告だった。
この友人が二部の主人公(里奈/伊波さん)。この繋ぎが上手いと感じました。

二部:親の介護問題と両親の秘密。
婚約者と両親への挨拶から始まる。社内で婚約の報告をし友人たちに囲まれはしゃぎながら祝福の言葉を掛けられる。幸せの絶頂。
(この輝きに満ちた表情から徐々に心の淀みが蓄積していく過程がわかりやすく伝わってきました。)

父から会社に電話。その直後に上司に仕事を頼まれるのですが。昼の部では不満そうな膨れっ面程度だったものが、夜の部は完全に切れ気味に上司の背中を睨み付けていました 笑

幼い頃に出ていった母親が事故に遭い引き取ることに。母親に優しくされたことのない里奈は「引き取るのは勝手だけど私は何もしないから!」と反発する。しかし現実問題としてそうも言ってられず協力することに。
(次第に磨耗し疲弊していく心の淀みが表情だけでなく目の輝きとなって見て取れるのがすごいと思いました。)

やがて介護の件を理由に婚約者から「結婚を延期しないか」と提案され二人は破局
父は里奈に謝罪。精神的に追い詰められていた里奈は「謝らないでよ……謝るんだったら あの人連れてどっかに行ってよ!!」と口走ってしまう。
「すまない」
「っ……ごめんなさい」
この辺りの演技が本当に素晴らしかった。泣いてはいないのですが声の震え、握り込まれた指先で口走ってしまった言葉への後悔が伝わってきて。伊波さんの泣きの演技は本当に武器だなと思いました。
(あと。パパ大好きな伊波さんを知っているだけに、このシーンは余計にずしんと来るものがありました。)

あとはまぁアニメにもあるお話なので割愛 笑
ちなみに地獄に流す際「お仕置きルーレット」なるものがあったですが、観劇した2回とも内容が違ったので毎回違うようです。

さて。ここまで伊波さんを中心に語ってきましたが、きくり役の高橋紗妃さんが本当に素晴らしかった!アニメのきくりがそのまま飛び出してきた感じでした。無邪気さは素直にキュンキュン可愛い~(*´∇`*)と癒され。底の知れない不気味さを醸し出すときは本当にぞくりとしました。『NARUTO』と『てーきゅう』にも出演されているので、DVDを見直したいと思わせてくれました。

 


【里奈/伊波さんの衣装】
靴は黒。(もう一種類あったかもしれない)室内はスリッパ。
婚約者と両親に挨拶衣装(グレーチェックぽいスーツ上下)
OL衣装(黒スカート+白シャツ(ボタン開けてる)+黒白チェック柄のベスト。黒ボタン3つ。両ポケット黒ライン)
部屋着(茶スカート+白シャツ+ミントグリーン(?)カーディガン。前開いてた)
婚約者と結婚延期衣装(部屋着の上着違い。ベージュ。金ボタン3つか4つ。前開いてた)
この公演で伊波さんが一番着替えが多かったと思われる。早替えだったのでシャツと黒スカートはそのまま、上に着用する感じ。
閻魔あい役の荒井さんは出番は少ないながらも、制服と着物なので着替えは大変だろうなと思いました。

 

 

【サイン会について】
まず事前にサイン会参加券の裏に書いてほしい名前(転売防止策。ただし代行として友人の名前を書いてもらうのは可能だった様子)を書くのだが、緊張しすぎてまさかの自分の名字を書き間違える私。(最初は漢字も可だったようですが、並んでいる間に平仮名かカタカナのみに変更になった様子)
サインしてほしい物販物と参加券をスタッフさんに渡す。(流れるようなスタッフの手際の良さ)

並んでいる後半は「お待たせしてすみません」という言葉がずっと聞かれ、伊波さんの誠実さが伝わってきました。
また「里奈の?」や「千歌ちゃんと一緒に」などの言葉も聞こえてきて、ふと感じたのが。伊波さんにとって演じる役は自分の一部ではなく完全に別人という感覚なのかもしれないということ。“なりきる”ではなく“なる”。言葉の端々からその精神を感じられてこの人は本当に一本筋が通っているのだなぁと改めて感心させられました。

あと、伊波さんは本当にツイッターのアイコンを覚えている。私は本名を書いてもらったので関係なかったのですが、サインに書き込む名前を見てすぐに「〇〇のアイコンの?」と反応している姿を何人も見かけました…すごい。

 

私の会話は省略しますが、伊波さんは公演後の疲れも見せずとてもハキハキとした口調で、緊張しいの私でも会話が成立するくらいとても話しやすい空気を作ってくださいました。相槌の「そうなのよ。そうなのよ!」「うわ~嬉しい」「そだよね♪そだよね♪」などハチメチの雰囲気そのままでした。
特に印象に残っている言葉がこちら。
「これをきっかけに舞台に興味を持ってくれる人が増えると本当に嬉しい」
↑ここの「本当に嬉しい」の部分に気持ちが篭っていて、この人は本当に舞台を愛しているんだと、ちょっとうるっときてしまいました。


正直観劇はお金のかかる趣味ではありますし、私は母親が演劇を観るのが好きだっただけで、普通に生活していたら若い人が演劇に触れる機会なんてないのかもしれません。
そう考える伊波杏樹さんという人は近い将来、演劇界にとって新たな扉を開く貴重な逸材になるのかもしれない……なんて思わせてくれる。そういう誠実さと愛情が伝わってきた。そんなサイン会でした。